とこずれ(褥瘡)とは
褥瘡(じょくそう)とは、床ずれや潰瘍性皮膚炎などとも呼ばれ、身体のある部位に対して継続的な圧力や摩擦が加わり、皮膚や軟組織の損傷が生じた状態を指します。褥瘡は、身体の動かしにくい部位や長時間床に寝たままの場合に発生しやすく、高齢者や寝たきりの人、糖尿病や循環器系疾患などの基礎疾患を持つ人によく見られます。
原因
主な原因は、身体の一部分に継続的な圧力がかかっていることです。例えば、床に横たわった状態で同じ体勢を長時間続けることで、身体の重みによって皮膚や軟組織が圧迫され、血液循環が悪くなって組織に酸素や栄養素が届かなくなります。この結果、皮膚や軟組織が壊死することがあります。
症状
初期段階では皮膚が赤くなり、痛みや熱感が生じます。その後、水ぶくれや潰瘍ができ、膿が出ることもあります。重症化すると深い潰瘍ができ、骨まで達してしまうこともあります。このような場合は、感染症などの合併症を引き起こすことがあります。
重症度
褥瘡の重症度はどの部分まで障害されているか、その「深さ」により分類されます。
NPUAP(米国褥瘡諮問員会) のステージ分類とEPUAP(欧州褥瘡諮問委員会)のステージ分類を使用することが多いのですが、それらにおいて褥瘡の深さにより1-4までのステージに分類されます。
ステージⅠ
圧迫をとっても消えない発赤。皮膚には傷を認めない
ステージⅡ
水ぶくれ、浅い潰瘍、皮膚、真皮がなくなるような傷
ステージⅢ
皮膚の下の脂肪まで及ぶ傷。ただしその奥にある骨、腱、筋肉には達していない。骨や筋肉等は露出していない全層皮膚欠損
ステージⅣ
深く、広くなった傷で、骨、腱、筋肉の露出してしまうような全層組織欠損
予防
以下のような方法があります。
体位変換
長時間同じ姿勢を続けないようにし、2時間に1回程度は体勢を変えましょう。
体圧分散
マットレスや座布団などの体圧分散具を使用することで、圧力を均等に分散させることができます。
栄養摂取
タンパク質やビタミンCなどを十分に摂取し、皮膚や軟組織の健康を保ちましょう。
清潔
日常的な清潔を心がけ、汚れたままにしないようにしましょう。
治療
治療には、以下のような方法があります。
除圧
身体の圧力を解除することで、褥瘡の進行を防ぎます。
患部の清掃
薬剤を用いて患部を清掃し、感染を防止します。
保湿処置
乾燥した皮膚に保湿剤を塗ることで、皮膚を保護し、損傷を修復します。
手術
深い潰瘍など、重症の場合は手術が必要となる場合があります。